FVG(Fair Value Gap、フェアバリューギャップ/公正価値ギャップ)は、連続する3本のローソク足で、1本目と3本目のヒゲが重ならない範囲です。3本目の確定後に確認できます。QuantRX『QuantRX Fair Value Gap』も3本を使って判定します。隣り合う足の窓とは異なり、2本目では範囲内の取引があった可能性があります。本記事ではリテストの位置を定めるために使い、エントリーと損切りは別に決めます。埋め戻しは利益を意味しません。
きれいにギャップを描けて、その後に埋め戻しも起きたら、そのトレードは成功なのでしょうか。成功と記録する前に、値動きの順序を確認してください。以下のビットコインの例ではギャップが完全に埋まりましたが、事前に定めた教材用ルールでは、ショートは先に損切り価格に達しました。違いは矩形を正しく描けたかではなく、「いつ価格がそこを通ったか」にあります。
まず3本のローソク足とゾーンの4つの状態を説明し、その後、同じ値動きでマーキング、待機、ポジション数量の計算、決済まで進みます。最後の図を見て答えを受け入れるだけでなく、右側を隠して手順を再現できます。
FVGが示すのは3本のローソク足の位置関係です
FVGが先に答えるのは「どの価格帯を観察できるか」であり、売買方向そのものではありません。SMC(Smart Money Concepts、スマートマネー・コンセプト)の価格分析で用いるマーキングの一つです。方向、流動性、リスクの組み合わせは、SMCの判断手順で確認できます。ここでは、このゾーンがどのように生まれ、どう使うかを分けて説明します。
強気と弱気のどちらも、1本目と3本目を比べます
強気のFVGは、3本目の安値が1本目の高値を上回る場合に、その間を囲みます。弱気のFVGは、3本目の高値が1本目の安値を下回る場合に、3本目の高値から1本目の安値までを囲みます。比較するのはヒゲを含む最高値・最安値であり、実体ではありません。2つの価格が等しい場合は幅がゼロになるため、本記事ではギャップとして記録しません。
2本目は価格を押し動かす足になることが多いですが、この3本の定義は「ゾーン内で一度も約定していない」という意味ではありません。2本目の高値・安値の範囲がゾーン全体を通ることもあります。確認できるのは、1本目と3本目が同じ価格帯を覆っていないということです。それだけで機関投資家の注文や売買量の不均衡を直接証明できるわけではありません。「公正価値」もこの形の慣用的な名称であり、資産の適正価格を計算したものではありません。

ゾーンが固定されるのは3本目の確定後です
3本目が終わるまでは、高値と安値が変わります。途中で空いているように見えた範囲が、その足の後半のヒゲで埋まる可能性もあります。そのため、本記事では確定済みの3本だけで判定します。図ではゾーンを過去の足の位置まで描き戻せますが、記録上の利用可能時刻は、3本目が確定した時刻にしなければなりません。
ツールによっては、3本が同じ色であること、最小幅、ディスプレイスメント(強い一方向の値動き)などの条件も加えます。TradingViewのQuantRXによる『QuantRX Fair Value Gap』には足の確定を待つ設定があり、HuntsPipによる『Fair Value Gaps』には複数の埋め戻し判定があります。本記事では、2026年9月30日に公開説明を確認しました。インジケーターがゾーンを削除しても、すべての人の売買ルールが無効になったとは限りません。本記事はヒゲを使う3本の定義だけを採用し、追加条件は別に記載します。条件の異なるものを混ぜて比較しないでください。
埋め戻しの範囲とトレードの損益は分けて考えます
ゾーンの状態は価格がどこまで到達したかを示します。損益を判断するには、エントリー時刻、約定価格、決済ルールも必要です。2つを分けて記録すると、「ギャップが完全に埋まった」と「エントリー後に不利な方向へ動いた」が同時に成立することが分かります。
到達、部分的な埋め戻し、完全な埋め戻し、無効化
価格が下から弱気のFVGへ戻る例では、下端に届けば到達、下端を超えて上端には届いていなければ部分的な埋め戻し、上端に届けば完全な埋め戻しです。中間値は上下端の平均で、一部のツールではCEと呼びます。反転を保証する別の価格ではありません。下端を待つか中間値を待つかで、約定する機会と損切りまでの距離が変わります。
本記事では、無効化を「4時間足の終値が弱気ゾーンの上端を厳密に上回ること」と別に定めます。したがって、ヒゲが上端に到達すれば完全な埋め戻しと記録できますが、4時間足が終わる前に終値による無効化とは記録できません。ヒゲが境界を超えた時点で無効とする別のルールも成り立ちます。ただし事前に固定し、損切り後により広い基準へ変えてはいけません。強気の場合は逆に上から下へ観察し、遠い側の境界は下端になります。

FVGとOBは異なる問いに答えます
FVGは3本の間の重ならない範囲を比較します。一方、OB(Order Block、オーダーブロック)は、大きな値動きの前にある逆方向のローソク足から候補を探します。詳しくは、OBの無効化と損切りで確認できます。両者が近いことも、離れていることもあります。SMCの解説に登場するという理由だけで、同じゾーンを別の名前で呼び替えないでください。
本例ではFVGとOBの重なりを必須とせず、ほかのインジケーターもエントリーのフィルターにしません。結果を説明できそうなツールを後から戦略へ追加するより、検証できる一つのルールを最後まで適用するほうが、何を試したかを明確にできます。
BTCの実際の値動き:完全に埋まってもショートは先に損切りです
この例ではBinanceのBTCUSDT無期限先物の過去の価格を使い、埋め戻しとトレード結果の違いを示します。BTCはビットコイン、USDTは価格の表示単位です。無期限先物はデリバティブ商品であり、現物を保有することとは異なります。データは2026年9月30日に再取得しました。4時間足88本、9月11日全日の15分足96本、同日12:30から12:59までの1分足30本を含みます。1分足を集計すると対応する15分足と一致します。
この値動きはシリーズで既に使用しており、既知の履歴を教材として再確認するものです。未知の市場でのブラインドテストではなく、実際の注文・約定報告もありません。以下のエントリー、余裕幅、口座残高、手数料率はすべて教材用の仮定です。元データは価格への到達と順序を確認するために使います。時刻はすべてUTC(協定世界時)で、UTC+8へ換算する場合は8時間を加えます。終日取引できても時間足には固定された区切りがあります。4時間足の開始時刻と確定時刻を混同しないでください。
手順1:3本の足、境界、確認時刻を固定します
9月10日の08:00、12:00、16:00に始まる3本の4時間足を順に見ます。1本目の安値は77,651.4、3本目の高値は77,518.6です。両者が重ならないため、弱気のFVGの下端は77,518.6、上端は77,651.4、幅は132.8となります。3本目が確定するのは9月10日20:00です。この時刻から、ゾーンへの埋め戻しを待てます。
真ん中の足を見ると、高値は77,935.8、安値は76,634.3で、FVG全体がこの高値・安値の範囲に含まれています。この数値からも、1本目と3本目が重ならないことを、その価格帯で取引がなかったことと置き換えられないと分かります。

手順2:埋め戻しの前にエントリー、損切り、取り消しを決めます
教材用モデルでは、確認後に下端の77,518.6へ初めて到達するのを待ち、指値のショートが約定すると仮定します。損切り価格は77,700.0、目標は初期リスクの2倍です。損切りの余裕幅は本例で指定したもので、FVGの形から自動的に決まるものではありません。1 BTCあたりの価格差リスクは77,700.0 − 77,518.6=181.4となるため、2Rの目標は77,155.8です。
待機するのは確認後の4時間足6本だけで、期限は9月11日20:00です。未約定なら取り消します。約定前に終値で無効化した場合や、新しいデータで価格が上端より上へ直接飛んだ場合も取り消し、ゾーン内で約定できたとは仮定しません。最初に使用した後は2回目の取引を始めません。約定後は損切り価格か目標で決済します。どちらにも達しなければ、遅くとも9月12日00:00の最初に約定可能な価格で終了します。本例では、この時刻による決済は使われませんでした。
口座残高を10,000 USDT、1回のリスク予算を0.5%と仮定すると、予算は50 USDTです。価格差だけで計算した数量上限は約0.275634 BTCですが、本例では0.25 BTCに減らし、予定価格差リスクを45.35 USDTとします。さらに、エントリーと決済の手数料率をそれぞれ0.01%と仮定し、指定したエントリー価格と損切り価格で約定する場合、往復手数料は0.25 ×(77,518.6+77,700.0)× 0.0001=3.880465 USDT、合計は49.230465 USDTです。
この手数料率は計算例であり、取引所の現在の料金ではありません。50 USDTまでの残額がスリッページ(予定価格と実際の約定価格の差)を十分にカバーする保証もありません。実際に注文する際は、商品の数量刻み、口座の手数料率、その他の保有コストも確認してください。ここで計算しているのはポジションのリスクであり、必要証拠金ではありません。
手順3:1分足で本当の初回到達を探します
確認後、9月10日20:00から11日08:00までの4本の4時間足の高値は、順に77,316.0、76,988.0、77,400.0、77,469.3で、いずれも下端に届いていません。11日12:00の足ではエントリー、目標、損切りのすべてが値幅に含まれます。4時間足だけでは発生順序を判断できません。
15分足に切り替えても12:00と12:15は未到達です。12:30の足は高値77,671.4、安値76,000.3で、エントリーと目標を同時に含むため、まだ順序を判断できません。そのためさらに1分足へ分解し、安値をそのまま利益に数えないようにします。
12:30の1分足では先に76,000.3の安値をつけましたが、高値は77,159.7にとどまり、まだエントリー価格に届いていません。その後も12:36まで、各足の高値は77,518.6を下回っています。下端を初めて超えたのは12:37の足で、高値77,587.1、安値77,177.3です。目標の77,155.8には届かず、高値もFVGの上端に達していないため、この時点で確認できるのは初回到達と部分的な埋め戻しです。この足の全体が分かるのは12:38です。履歴上の12:37を、正確な約定秒数として扱ってはいけません。
価格が連続し、指値が仮定どおり約定するモデルでのみ、この区間からトレードを計算します。ローソク足には注文の待ち順や個人口座の約定報告がありません。実際に約定していなければ未約定として記録します。12:30のより低い価格は、どれほど好都合に見えても、この仮定のエントリーより前に発生しています。

手順4:完全な埋め戻し後も上昇し、目標より先に損切りへ達します
12:40の1分足の高値は77,671.4となり、上端77,651.4を超えたため、FVGは完全に埋まりました。矩形が埋まったからといって、価格が必ず反転するわけではありません。エントリーを含む12:37から12:45まで、各足の安値は目標77,155.8を上回っています。12:46には高値が77,790.7へ上昇し、損切り価格77,700.0を超えました。安値77,608.6も目標には届いていません。
したがって、指定価格での約定を仮定した結果は、先に損切りとなり、価格差による損失は45.35 USDTです。前述の仮定の往復手数料を加えると49.230465 USDTになります。実口座の約定証拠はないため、実取引の成績として記録してはいけません。FVGが4時間足の終値で無効化するのは16:00まで待つ必要があります。その足の終値77,682.9が上端を上回り、初めて本記事のルールで確認できます。トレードは既に決済されており、ゾーンの判定まで損切りを待つ必要はありません。
同じ記録に時間軸を残すと混同を防げます。12:37が初回到達、12:40が完全な埋め戻し、12:46が損切り価格の突破、16:00が終値による無効化です。前の3つは1分間の区間のラベルで、最後は4時間足の確定時刻です。埋め戻しの成立と、このショートの損失は矛盾しません。

FVGの練習では、約定しなかった計画も残します
練習すべきことは、次の足が出る前に条件を書き終えることです。同じ期間をリプレイする際は、商品、時間足、元となる3本、確認時刻、上下端を先に記録し、その後に初回使用、取り消し期限、決済ルールを記載します。そのまま記入できる項目は、計画と約定を分けた記録で確認できます。未到達、取り消し済み、実際の未約定をすべて残し、計画全体の件数を使って約定割合を確認します。一方、トレードの勝率には約定済みかつ決済済みの取引だけを数えます。分母を分け、取り消しを損失に数えたり、待機記録を削除した後の割合を全計画の成果として示したりしないでください。
再現する際は、取引しなかった理由も真偽を判定できる文にします。例えば「まだ下端に届いていない」なら高値で確認できますが、「勢いが足りない気がする」では次回に同じ基準を適用しにくくなります。下端から中間値へのエントリーに変えるなら、別のルールと記録を用意し、2つの約定条件を一つの成績に混ぜないでください。
判定後は、確認時点と決済時点の2枚のスクリーンショットを残し、どの時刻まで見えているかを記載します。最初の図には当時確定済みの足と予定価格だけを残し、後の値動きは2枚目で加えます。これにより、振り返る際に当初の方向の想定が崩れたのか、待機や決済のルールを守らなかったのかを区別できます。よりきれいなゾーンを選び直すだけでは分かりません。
本例が初回到達の指値を採用するのは、手順を照合できるようにするためです。すべてのギャップへ直接注文することを勧めるものではありません。低い時間足の確定を待つ方法なら、確認価格と利用可能時刻を先に書き、エントリーから損切りまでの距離を再計算してください。本例のエントリー価格と損益をそのまま使うことはできません。
複数の時間足を使う図では、後知恵の情報が入りやすくなります。4時間足のFVGを15分足に表示しても、4時間足の3本目が確定するまで待つ必要があります。低い時間足が何本か進んだからといって、早く使ってはいけません。表示時刻のタイムゾーンを変える前に、データの実際の区切りの開始時点を確認します。商品、データ提供元、区切り方が違えば、同じ3本の組み合わせになるとは限りません。
本例では細かいデータで順序を区別できましたが、1分足も個々の約定履歴ではありません。同じ1分にエントリーと決済価格が両方含まれる場合は、さらに資料を補うか、結果を不確定と記録してください。毎回自分に有利な経路を選んではいけません。一つの例でFVGに収益上の優位性があるかどうかも証明できず、固定したルール、複数のサンプル、完全なコスト記録が必要です。

ゾーンの判断を計画全体につなげます
確認、埋め戻し、決済を区別できれば、ゾーンを全体の手順へ組み込めます。方向とほかの概念はSMC戦略の基本、元となるゾーンの比較はOBの描き方、記録の練習はトレード日誌の書き方で学べます。例を再現する際は12:37以降の価格を隠し、自分の計画を書き終えてから後の足を表示してください。
本記事は学習と過去の値動きの練習を目的としており、投資助言ではありません。先物取引ではレバレッジ、スリッページ、手数料、未約定により結果が異なる可能性があります。例示した数値は、得られる利益を示すものではありません。